小学校低学年の子どもたちと取り組んだ『白雪姫』の劇あそび実践記録です。 SEL(社会性と感情の学び)を軸に、導入から台本づくり、練習、発表までの流れを4つのステップで紹介します。
劇あそびを通して、子どもたちの“気持ちの理解・共感・対話”がどのように育つのかをまとめました。
- はじめに|劇あそびは“気持ちを学ぶ場”になる
- 子どもの気づきから始まる物語理解
- 『白雪姫』劇あそびの4ステップ(SELの視点)
- 子どもの気づきから始まる物語理解
- 『白雪姫』劇あそびの4ステップ(SELの視点)
- 浜島版『白雪姫』ゆるやか台本(実践用)
- 第一場|プロローグ
- 第二場|お城の白雪姫
- 第三場|鏡とお妃
- 第四場|森の中の白雪姫
- 第五場|七人の小人と白雪姫
- 第六場|毒りんごとお妃の最後のたくらみ
- 第七場|りんごとねむり
- 第八場|めざめとしあわせの光
- 第九場|鏡の精の歌(浜島オリジナルラスト)
- 第十場|希望の星、ふたたび
- 悪役の魅力と心の成長|王妃を演じた子の変化
- 劇あそびが教室にもたらす変化
- よくある質問Q&A
- まとめ|劇あそびは心を育てる“物語の旅”
はじめに|劇あそびは“気持ちを学ぶ場”になる

劇あそびは「セリフを覚える活動」ではありません。 子どもが自分や友だちの気持ちに気づき、 対話しながら表現を深めていく SEL(社会性と感情の学び) の実践です。
よくある不安と誤解
- 低学年でもできるの?
- セリフを覚えられない子はどうする?
- 台本は先生が全部作るの?
こうした不安はよく聞きますが、 劇あそびは “できることから始めていい” 活動です。
子どもの気づきから始まる物語理解
子どものひとことが物語を動かす
「王妃って意地悪だけど、本当はさみしいのかもしれない。」
ある男の子のこのひとことが、 クラス全体の物語理解を深めるきっかけになりました。
SELの視点で見る“役への共感”
- 自分と違う気持ちを想像する
- 役の気持ちを友だちと話し合う
- 表現を通して気持ちを確かめる
これらはすべて SELの中核スキル です。
『白雪姫』劇あそびの4ステップ(SELの視点)

よくある不安と誤解
- 低学年でもできるの?
- セリフを覚えられない子はどうする?
- 台本は先生が全部作るの?
こうした不安はよく聞きますが、 劇あそびは “できることから始めていい” 活動です。
子どもの気づきから始まる物語理解
子どものひとことが物語を動かす
「王妃って意地悪だけど、本当はさみしいのかもしれない。」
ある男の子のこのひとことが、 クラス全体の物語理解を深めるきっかけになりました。
SELの視点で見る“役への共感”
- 自分と違う気持ちを想像する
- 役の気持ちを友だちと話し合う
- 表現を通して気持ちを確かめる
これらはすべて SELの中核スキル です。
『白雪姫』劇あそびの4ステップ(SELの視点)
ステップ1|導入:物語と気持ちをつかむ
絵本・紙芝居・朗読などで物語に親しみ、 登場人物の気持ちを想像する時間をつくります。
先生の問いかけ例:
- 白雪姫はどんな気持ちだった?
- 王妃は何がこわかったのかな?
ステップ2|台本づくり:子どもの言葉を拾う
黒板に場面の流れを書き、 子どもたちの言葉を拾いながら台本をつくります。
先生の問いかけ例:
- 白雪姫ならここでなんて言う?
- 王妃の心の中にはどんな気持ちがある?
ステップ3|練習:短い場面をくり返す
1〜2分の短い場面をくり返し演じ、「前より気持ちが伝わった?」と対話しながら深めます。
ステップ4|発表とふりかえり:SELの深まり
発表後は、
- 自己認識
- 社会的認識
- 責任ある意思決定
へとつながる問いかけを行います。
浜島版『白雪姫』ゆるやか台本(実践用)

この台本は、子どもたちと一緒に作り上げた“ゆるやか台本”です。完成された脚本ではなく、現場で子どもたちの言葉や気持ちを拾いながら、自由にアレンジして使っていただくことを前提にしています。
第一場|プロローグ
語り むかしむかし、ある国に、雪のように白い肌をもつ女の子が生まれました。 その子の名前は——白雪姫。けれど、しあわせな日々は、長くはつづきませんでした。
第二場|お城の白雪姫
語り: 白雪姫は、すくすくと育ちました。おしろの庭で、ちょうちょとあそぶのが大好きな、無邪気な女の子でした。
白雪姫:(ちょうちょを追いかけながら) 「まって〜!ちょうちょさん、どこへいくの?」
白雪姫:(空を見上げて) 「おかあさま、みて!おそらが きょうは とっても きれい!」
王さま:「白雪姫、そんなに走って、ころばないようにね。」
お妃:(遠くから見つめながら) 「……まあ、なんて かわいらしい子。 でも……あの子ばかりが みんなに ほめられて……」
第三場|鏡とお妃
語り: ある日、お妃さまは、魔法の鏡にたずねました。 でも——その日、鏡のこたえは、いつもとちがっていたのです。
お妃:「鏡よ鏡、本当のことを言う鏡。 遠慮はいらぬ、教えておくれ。 世界で一番美しいのは誰だえ?」
鏡の精:「聞きたいですか、お妃さま。 昨日まではあなたが一番。 でも今はちがう。 白雪姫が一番美しい。 あなたより一千倍も美しい。」
お妃:「ええい、許せぬ!そんなこと……! 猟師!白雪姫を森へ連れ出して、姫の肺と肝を取ってくるのじゃ!」
✳︎「鏡よ鏡」の歌の楽譜 :鏡とお妃の掛け合いで歌われる楽譜。劇団天童第四場|森の中の白雪姫
語り: 白雪姫は、森の中にひとり取り残されてしまいました。 風の音と鳥の声だけが聞こえます。
白雪姫:(木のそばに座り、ひざをかかえて) 「どうして……? お母さまは、どうして わたしを にくむのかしら…… わたし、なにか いけないことを したのかな…… お母さまのこと、大好きだったのに…… ここはどこ……? こわいよ……」
語り: 白雪姫は、こわさとさびしさをこらえながら、森の中をあるいていきました。 すると——木のかげに、ちいさな ちいさな おうちが 見えてきたのです。
第五場|七人の小人と白雪姫
語り: 森の奥の小さな家に、七人の小人たちがくらしていました。 彼らは、毎日まじめにはたらきながら、 いつか出会う「希望の星」をずっと待っていたのです。
歌:希望の星を待っている(小人たちの登場シーン) ♪ ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブ・シックス・セブン ぼくらは ずっと 待っている 希望の星を 待っている 暗い森にも 光はさす いつか きっと 出会えると—— ♪
小人たち:(順に名乗る) 東(ひがし)「ぼくは 東!」 西(にし)「わたしは 西!」 南(みなみ)「南だよ!」 北(きた)「北です!」 昔(むかし)「むかしと申します」 今(いま)「いま、って呼んでね」 未来(みらい)「未来です。よろしく!」
語り: その日、小人たちが仕事から帰ってくると、 家の中に、見たことのない女の子がねむっていました。
小人たち:(ざわざわと) 「だれか、いるぞ!」 「ベッドにちいさな子が……」 「ねてるよ……」 「この子、まるで……雪のようにしろい肌……」 「この子が……希望の星?」
白雪姫:(目を覚まし、驚いて) 「あっ……ごめんなさい! わたし、森でまいごになって……」
小人たち:(声をそろえて) 「いいんだよ! ここにいていいよ!」
白雪姫:(涙をぬぐいながら) 「ありがとう……ありがとう……」
第六場|毒りんごとお妃の最後のたくらみ
語り: お城では、お妃さまがふたたび鏡にたずねていました。
お妃:「鏡よ鏡、本当のことを言う鏡。 世界で一番美しいのは誰だえ?」
鏡の精 :「それは……白雪姫。あなたより一千倍も美しい。」
お妃 :「またあの子か……!ならば、今度こそ わたしの手で——!」
語り: お妃さまは、魔法の力でみすぼらしいおばあさんに姿をかえ、 まっ赤なりんごをひとつつくりました。 それは、ひとくちかじれば、永遠のねむりにおちてしまう、まほうのりんごでした——。
第七場|りんごとねむり
語り :白雪姫は、ひとりでおるすばんをしていました。 そこへ、ひとりのおばあさんがやってきました。
おばあさん(お妃): 「まあまあ、かわいいお嬢さん。おいしいりんごをひとつ、いかがかね?」
白雪姫: 「……でも、小人さんたちに、知らない人からものをもらっちゃいけないって……」
おばあさん: 「これはふつうのりんごさ。ほら、わたしがひとくちたべてみせよう」 (りんごを半分に割り、自分のほうをかじる)
白雪姫 :「じゃあ……わたしも、ひとくち……」 (りんごをかじり、ふらりと倒れる)
おばあさん:(にやりと笑い、去っていく) 「これで、わたしがいちばん……!」
第八場|めざめとしあわせの光
語り: 小人たちは、白雪姫がたおれているのを見つけ、 どんなにさけんでも、目をさましませんでした。 そこへ、ひとりの王子さまがやってきました。
王子: 「なんてうつくしい人だ…… この人が、ねむっているなんて……」 (白雪姫にそっとキスをする)
白雪姫:(目をひらき、ゆっくり起き上がる) 「……ここは……? あなたは……?」
王子:「わたしは、となりの国の王子です。 あなたのことを、夢で見たのです。」
白雪姫:(ほほえんで) 「ありがとう……あなたの声が、わたしを目覚めさせてくれたのね」
第九場|鏡の精の歌(浜島オリジナルラスト)
語り :白雪姫と王子さまが手をとりあい、おしろへと帰ってきました。 そこには、ひとり さびしそうにたたずむお妃さまの姿がありました。
お妃:(うつむきながら) 「わたしは……まちがっていたのかもしれない。 美しさにとらわれて、たいせつなものをなくしてしまった……」
白雪姫:(そっと近づき) 「お母さま…… わたしは、あなたをにくんでなんかいない。 だって……あなたは、わたしのお母さまだもの」
お妃:(涙をこぼしながら)「……すまなかった……すまなかったよ……」
語り: そのとき、鏡の中から、やさしい光がふわりとこぼれました。鏡の精が、そっと歌いはじめたのです。
鏡の精の歌 ♪ かえっておいで きれいな心 わたしのもとへ かえっておいで あなたは あなた 白雪姫は 白雪姫 あなたらしさを わすれないで くらやみのなかで まよっても ひかりは いつも あなたのなかに いま その手で とびらをひらいて あたらしい あしたへ あるいてゆこう ♪
✳︎「鏡の精の歌」楽譜:~帰っておいで綺麗な心〜 :ラストシーンで流れる感動的な歌。この作品のメインテーマ 劇団天童
第十場|希望の星、ふたたび
語り: こうして、白雪姫とお妃さまは、 それぞれの“ほんとうの美しさ”を胸に、 新しい一歩をふみだしました。
そして、鏡の精の歌は、今もどこかでひびいています。 あなたの心にも、きっと——。
フィナーレの歌(リプライズ) ♪ ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブ・シックス・セブン ぼくらは ずっと 待っていた 希望の星が ほほえんで 世界に ひかりが もどったよ—— ♪
悪役の魅力と心の成長|王妃を演じた子の変化
役を通して気持ちを理解する
「王妃って、悪い人じゃないかも。」
演じる中で、子どもは “気持ちの複雑さ” に気づいていきます。
劇あそびが教室にもたらす変化
関係性の変化
- 普段話さない子同士が笑い合う
- 自信がなかった子が堂々と立つ
- 自然に拍手が起こる
劇あそびは 教室に対話と信頼を生む時間 です。
よくある質問Q&A
- セリフを覚えられない子は? → 感じることが大切。言葉が少し違ってもOK。
- 配役はどう決める? → 立候補+話し合い。交代制も可能。
- 時間が足りない → 1日5〜10分でも十分育つ。
- SELって難しい? → 気持ちに気づくこと。それがSELの第一歩。
まとめ|劇あそびは心を育てる“物語の旅”

劇あそびは、
- 気持ちを感じる
- 言葉にする
- 誰かとつながる
という SELの本質 を体験する学びです。あなたの教室でも、 物語の魔法が芽吹きますように。
私も、深くて価値のある劇あそびを深めていこうと思います。


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