『三びきのくま』を劇あそびにする理由|幼児〜小学生の心に届く台本と実践ポイント

舞台

📌 本記事は著者の55年以上の演劇・語り芝居の現場体験に基づく個人の見解です。実践の際は各現場の状況に合わせてご活用ください。

  1.  この記事でわかること
  2. はじめに|子どもの心に届く劇を求めて
  3. 準備物の早見表(『三びきのくま』劇あそび)
    1. 準備物(一覧)
  4. 参加人数の目安
  5. 所要時間の早見表(『三びきのくま』劇あそび)
    1. 所要時間(一覧)
  6. 『三びきのくま』劇あそび
    1. 導入の目的(ひと目でわかる)
    2. 導入文(短く・現場で使える版)
    3. 導入で使える“問いかけ”早見表
    4. 導入で育つ力(一覧)
    5. 導入の流れ(ひと目でわかる)
  7. 『三びきのくま』を選んだ理由
  8. ポール・ガルドンとの出会い
    1. 昔話への姿勢と絵本作りの哲学
    2. くまの家族とキャンディ誕生の秘密
    3. 日本に帰ってからの実践と確信
  9. 幼児〜小学生向けの劇あそびの進め方
    1. 年齢別の進め方の目安
  10. 子どもが教えてくれた物語の本質
  11. 『三びきのくま』を劇あそびにする意味
  12. 「キャンディ役をめぐる対立(小学校1年の実例)
    1. その場で決めず、いったん止める
    2. 動きの練習で気持ちが整理される
    3. 交代制で“落としどころ”をつくる
    4. 気づき|二人とも“居場所”を探していた
  13. 子どもの心に届く“居場所の物語”としての読み解き
  14. 人形劇の基本とコツ
    1. 人形の持ち方(基本の型)
    2. 登場する人形と小道具
    3. 導入から上演までの流れ(ひと目でわかる)
  15. よくある質問 Q&A
  16. まとめ|昔話の力を、子どもたちの心へ
  17. あとがきにかえて

 この記事でわかること

  • はじめに|子どもの心に届く劇を求めて
  • 『三びきのくま』を選んだ理由
  • 子どもが教えてくれた物語の本質

幼児〜小学生の子どもたちと取り組んだ『三びきのくま』の劇あそび実践をまとめました。

この物語は、ただの昔話ではなく、子どもたちの“安心できる居場所”や“自分に合うものを探す気持ち”を映し出す、心の成長物語です。

この記事では、劇あそびを通して子どもたちがどのように気持ちを理解し、表現し、他者とつながっていくのかを、実際のエピソードとともに紹介します。

短時間でできる台本(5〜7分)や、配役・練習の工夫、人形劇のコツなど、現場でそのまま使える内容をまとめました。

「表現が苦手な子も参加できる劇を探している」「昔話を心の教育に活かしたい」 そんな先生方に役立つ実践記録です。

はじめに|子どもの心に届く劇を求めて

子どもたちの心にまっすぐ届く劇とは何か。

保育園・小学校・児童館で昔話をもとにした劇あそびを続ける中で、 『三びきのくま』は特に深く響く物語だと感じてきました。

💡 現場からのポイント

子どもたちが物語の中で「選択する場面」を体験すると、思考力・共感力・自己表現力が自然と育まれます。劇あそびは、答えを教えるのではなく、子ども自身が考える時間を生み出す場です。

 

準備物の早見表(『三びきのくま』劇あそび)

現場からのひとこと

材料集め
人形と小道具は手作りがベストです。子どもの服がくまの衣装に化けたり、友達が、ゴミに出そうとしていた冬コートをいただいて、くまの人形3体、作りました。

いつも誰かの洋服やマフラーに目をつけていて、「捨てる時は連絡してね」とお願いしておくのもおすすめです。

くまの人形作り
材料:新しい布を購入しなくても古着で間に合います。茶色の冬用のコート、ニットセーター、ソックス、毛布など。

材質:ふわふわもこもこ系。
色:茶色系統。少々、黒っぽくても浅い茶色でもOK
目:黒や茶色のボタン。瞳は、白の修正ペンでちょんと

女の子の人形作り
頭(かしら):発泡スチロールで削り出す。ピンクっぽい布を貼る。目鼻口を描く。マジックペン、絵の具でOK

胴、手、足:肌色の布。中身は手芸綿をつめる。
衣装:ワンピースが縫いやすい。色はお好みで。私は赤にしました。

手、足の縫い付け方:太い糸を二重で縫い付ける。びっちり縫い付けないで遊びを作る。人形を動かした時に、動きが出るようにしておく。

小道具の用意
椅子、テーブル、ベッドなど、100円ショップにで間に合えばいいですが、おもちゃ売り場でも売っています。大変な気分にならないように既製品で間に合わせたいですね。

売り物が見つからないときや、サイズ・色・形がどうしても気に入らないときは、自分で作ってしまうのがいちばん早いんです。

段ボールや厚紙を切り出して形にしていくと、思った以上にしっくりくるものができます。

そのときのコツは、凝りすぎないこと。 完璧を目指すより、まず“ざっくり形にしてみる”ほうがうまくいきます。 手を動かしているうちに、必要な形が自然と見えてくるからです。

準備物(一覧)

準備物 内容 現場でのコツ
絵本 『三びきのくま』(ポール・ガルドン作) 語り中心でもOK。導入に最適。
人形 お父さんぐま・お母さんぐま・子ぐま・女の子 松戸おはなしキャラバン時代の人形が最適。子どもが集中する。
小道具 お椀・椅子・ベッド・帽子・ショールなど 身近な素材で十分。子どもの創造力が育つ。
舞台セット 背景布・簡単な家の形 “簡素”が子どもの想像力を広げる。
衣装 フェルト・毛糸・布など 完璧さより「自分で作った経験」が価値。
ナレーション台本 短縮版(5〜7分) 子どもが動きやすい構成。即興性を大事に。
その他 先生の声・間・表情 いちばん大事な“準備物”。語りの力が舞台をつくる。

参加人数の目安

人数の目安 内容
10〜15人 役を交代しながら進めやすい。初心者向け。
20〜30人(1クラス) ナレーション係・裏方係を作ると全員参加できる。
30人以上 グループごとに同じ場面を作る「分割方式」が最適。

所要時間の早見表(『三びきのくま』劇あそび)

所要時間(一覧)

所要時間 内容
導入(語り・絵本) 5〜7分
動きの練習(セリフなし) 5〜10分
ナレーション合わせ 5分
セリフ練習 3〜5分
衣装・小道具づくり 10〜20分(短縮可)
リハーサル 5〜10分
本番 5〜7分
合計 約40〜60分(短縮版なら20〜30分)

『三びきのくま』劇あそび

現場からのひとこと

年長クラスで『三びきのくま』を行ったとき、スープの場面で印象的な出来事がありました。

女の子役がスープを味見する場面で、台本では「熱い!」と驚くだけの短い動きでしたが、ある男の子が突然、

「ちょっと待って!ぼくが先に味見する!」

と言って前に出てきたのです。 周りの子どもたちは一瞬驚きましたが、男の子はスプーンを持つ真似をしながら、 「うーん、これはぼくには熱すぎるな」 と表情たっぷりに演じ始めました。

すると他の子どもたちも次々に自分の“味見”を始め、 「わたしの好きな味!」 「もっと冷ましてから飲む!」 と、台本にはない動きや言葉が自然に広がっていきました。

その場面は、物語の筋から少し離れたように見えましたが、 子どもたちが自分の感じたことを表現し、仲間の表現を受け止めながら場をつくっていく力 が育っていることを強く感じました。

劇あそびは、台本通りに進めるだけではなく、 子ども自身が物語を“自分の体験”として再構成していく学びの場 なのだと実感した場面でした。

導入の目的(ひと目でわかる)

導入の目的 内容
子どもの心を開く 「物語に入りたい」という気持ちをつくる
安心感をつくる 劇あそびは“安全な心の場”であると伝える
物語のテーマを感じさせる 「ちょうどいい」「居場所探し」を自然に意識させる
子どもの想像力を動かす 絵本の世界を自分の体験と重ねる準備

導入文(短く・現場で使える版)

導入文 子どもの反応 育つ力
「今日はね、“ちょうどいい”を探すお話だよ。」 「ちょうどいいって何?」と考え始める 思考力
「この家にはね、大きいの、中くらいの、小さいのがあるんだよ。」 「なんで3つ?」と興味が湧く 推理力
「女の子はね、自分にぴったりの場所を探しているんだよ。」 「どこがいいかな?」と想像する 想像力
「くまさんたちはね、家族で仲良く暮らしているよ。」 家族のイメージを重ねる 共感力
「このお話はね、みんなの“心の中の旅”なんだよ。」 自分の気持ちと物語をつなげる 内省力

導入で使える“問いかけ”早見表

問いかけ 子どもの心の動き
「女の子はどうして家に入ったんだろう?」 目的を考える
「どのスープが好きかな?」 自分の好みと重ねる
「どの椅子に座ってみたい?」 選択の体験
「どのベッドが気持ちよさそう?」 想像力が動く
「くまさんはどんな気持ちかな?」 他者の心を想像する

導入で育つ力(一覧)

育つ力 内容
思考力 「選ぶ」「比べる」「理由を考える」
想像力 絵本の世界を自分の体験と重ねる
共感力 くま・女の子の気持ちを想像する
自己決定力 「自分で選ぶ」体験ができる
安心感 「ここにいていい」と感じる準備

導入の流れ(ひと目でわかる)

導入の流れ ポイント
絵本の表紙を見せる 色・表情で心が動く
短い語りかけ 子どもの心を開く
ひとつ問いを入れる 思考が動き始める
子どもの反応を拾う 物語の入口が開く
劇あそびにつなげる 「やってみたい」気持ちを育てる

『三びきのくま』を選んだ理由

このおはなしはイギリスに伝わる昔話ですが、時代を経るに従ってフランスにもアメリカにも似たおはなしが伝わっています。

「3びきのくま」が、長年、語り継がれてきた魅力はどこにあるのか、子ども達が熱狂する理由を知りたいと思って、はじめは絵本の読み聞かせをやってみました。

ポール・ガルドンとの出会い

ポール・ガルドン作 ただひろみ訳 ほるぷ出版刊

ポール・ガルドンはアメリカの絵本作家。

夏はバーモント州の山の上で暮らし、冬はニューヨークで暮らしていました。

私は、バーモント州のご自宅を訪問し、ガルドンご夫妻にあたたかくもてなしていただきました。ご夫妻といっしょにチキンを焼き、庭からレタスを摘んでサラダを作り、楽しく語り合いながら食事をしました。

また、ガルドン作の絵本『しょうがぱんぼうや』が好きだと話すと、「OK!ジンジャーブレッドボーイを焼いてあげましょう」と言って、あっという間に香ばしいジンジャークッキーが焼き上がりました。

昔話への姿勢と絵本作りの哲学

ガルドンは言いました。

「昔話は子どもを育てるという明確な意図をもって語り継がれてきた。絵本作家も語り手もその意図をはっきりさせて、仕事をしなければならない」

「私は、登場人物のキャラクターをはっきり描く。これが私の絵本作りだ。ミセス・ハマシマ、ストーリイテラーのあなたの考えはどうか?」

私もあなたと同じ考えで絵本敎育活動していますと答えると、ガルドンはとても嬉しそうな顔で手を差し出し、握手をしてくださいました。

くまの家族とキャンディ誕生の秘密

ガルドンが描く大・中・小の3びきのくまを語りでどう表現するか。私は、お父さん、お母さん、子どもだと思うが、これでいいのかをガルドンに尋ねました。

ガルドンは即答しました。

「OK!くま達はファミリーだ。子どもにとって家族は大事だからね」

私は間違っていなかったと安心しました。

次に、突然現れる女の子キャンディについて尋ねました。 ガルドンは少し考えてから、こう言いました。

「おばあさんだと言う説もあるけれど、私は、おばあさんを登場させる気にならなかった。

子どものほうが良いと思った。子どもの好奇心、探究心を大事にしたいからね」

こうして、くまの家ではちゃめちゃに動く女の子キャンディが誕生したのです。くま達もキャンディもすぐそばに聞こえるような感じがしました。

日本に帰ってからの実践と確信

日本に帰ってから、私はこの絵本を子ども達に読み語りしてきました。子どもの心の深いところに働きかけ、気持ちを引っ張り出してくれる絵本だと確信したからです。

保育園、幼稚園の先生方に、ぜひ、おすすめしたい作品です。

✳︎参考絵本 『三びきのこぶた』ポール・ガルドン作/晴海耕平訳(童話館)

ガルドンの絵本は、昔話の構造を大切にしながら、子どもが理解しやすい形で描かれているため、家庭での読み聞かせにとても使いやすい一冊です。

  • 絵がシンプルで場面の流れがわかりやすい
  • こぶたの気持ちが表情で伝わる
  • オオカミの登場が“怖すぎず、ちょうどよい”

家庭で昔話を読むときの「最初の一冊」としておすすめです。

幼児〜小学生向けの劇あそびの進め方

現場からのひとこと

年中組での劇あそびの体験談

年中組で『三びきのくま』の劇あそびをしたとき、思いがけない“本気のやりとり”が起きたことがあります。

女の子が三つの部屋を回り、自分にぴったりのものを探す場面。二つ目の部屋の椅子に座ろうとした瞬間、こぐま役の男の子が飛び出してきて「座っちゃダメ、オレの椅子だから」と強く主張しました。

女の子は椅子に座ったまま胸を押し返し、二人の間に緊張が走りました。

そこへお母さんぐま役の子が割って入り「二人ともやめなさい!」と一喝。

雰囲気が険悪になり、私が介入しようとしたその時、おとうさんぐま役の男の子が両手を広げて「まあまあまあ、先生、いいから座って」と場を整えました。

その後、子どもたちは自分たちで話し合いを始め、「ひとの椅子に座っちゃダメだよ」「わたしも椅子がほしいの」 「いいよ、ぼくの椅子貸してあげる」 と、役になりきりながら気持ちを伝え合いました。

最後にはこぐま役の子が胸を張るほど満足した表情を見せました。

物語の筋から離れたように見えても、ここで止めなかったことが正解でした。

子どもたちは劇あそびを通して、このおはなしの本質──「自分の居場所があることを確かめたい」という気持ち──を自分たちでつかんだのです。

絵本の読み聞かせだけでは見えなかった“心の動き”が、劇あそびの中で鮮やかに表れた場面でした。

小学校高学年 5年生のクラスでのできごと

ベッドに寝ている女の子を発見した場面。お父さんぐま役の男の子とお母さん役と女の子が、セリフもなく顔を見合わせて見つめあいました。

妙な間が空いた瞬間、クラス中の子どもがどっと笑いました。「いいね、いいね」子ども達は、はやしたて、空気が物語とは違う方向に流れて行ったのです。

「困ったな、どうしよう。劇あそびを止めようか、それとも何か違う言葉をかけて本来の筋に戻そうか」と案じていたとき、女の子役の子が目をぱっちり開けて言いました。

「わたし、ここの子になっていい?」「ん、ああ、いいけれど・・・」お父さん役の子が口をもごもごし、「ね、いいよね」とお母さん役の子に言いました。

「いいけれど、台本にないセリフよね」冷めた声できっぱり言ったので、クラス中が大笑いしました。

この後は、物語の筋どおりに進みました。小学校高学年になると、修復してさらに次に進める力があるのに驚かされます。

『三びきのくま』の劇あそびは、年齢によって取り組み方が少しずつ変わります。

子どもたちが無理なく参加できるように、場面数やセリフ量を調整すると、安心して物語の世界に入ることができます。

年中〜年長では、スープ・椅子・ベッドの3場面すべてを行わず、2場面に短縮しても十分楽しめます。

低学年になると3場面すべて可能になり、セリフを少し増やしても理解できます。

中学年〜高学年では、「ちょうどいい」の意味を話し合うなど、心の読み解きを加えると深まります。

年齢に合わせて無理なく進めることで、子どもたちの表現力や自己決定力が自然と育っていきます。

年齢別の進め方の目安

年齢別の目安 内容
4〜5歳(年中〜年長) スープ→椅子→ベッドの3場面すべてはやらず、2場面に短縮してOK。セリフは1〜2語で十分。
6〜8歳(低学年) 3場面すべて可能。セリフを少し増やしても理解できる。選択の場面を丁寧に。
9〜12歳(中学年〜高学年) 心の読み解きを加えると深まる。「ちょうどいい」の意味を話し合える。
  • 表現が苦手な子も参加できる工夫
  • セリフが少なくても成立する劇の作り方
  • 実際に使える短縮台本
  • 子どもの心に届く“居場所の物語”としての読み解き

長年大切にしてきた物語

「3びきのくま」は、昔話の中でも、子どもの心に深く響く作品です。はじめは絵本、次は紙芝居で子ども達に語り、そして、劇あそび、人形劇に発展させてきました。

それから劇あそびに発展させました。子ども達が見る側から演じる側へと発展させて行ったのです。

演じて気づいた“物語の奥深さ”

女の子の行動は「安心できる場所」を探す旅だった。女の子は、くまの家で三つの部屋に行きます。そこには、お椀、椅子、ベッドがそれぞれ三つずつあります。

お椀、椅子、ベッドが意味することは何?
お椀:家族の中に自分の食べるお茶碗がある
椅子:家族の中に自分が座る場所がある
ベッド:家族の中に自分が寝る場所がある

この家の家族であるためには、この三つが必要だということを表しているのです。

子どもの反応が教えてくれたこと

M保育園で人形劇公演を行ったときのことです。キャンディ(人形劇での女の子の名前)が、こぐまのお椀を持ったとき、園児達は立ち上がって一斉に叫びました。

「ダメ!飲んじゃダメ!」「こぐまのだよ」その時、4歳のケント君が顔を真っ赤にして人形劇の舞台に駆け寄ってきて、キャンディ人形の首をつかんでお椀に突っ込みました。

「飲みな、飲んでいいよ」それから、くるりと振り返って子ども達に向かって叫びました。「飲ませてやれよ!」

他の子ども達は、「飲むな」と叫び、ケント君は「飲んでいいんだよ」と叫び返します。

私は、キャンディ役を演じていましたが、ケント君がキャンディ人形を手から抜いてしまったので人形劇はストップしてしまいました。

ケント君対園児60人が睨み合い、戦いのような感じになってきました。どうしよう・・・。

その時、園長先生がすすっと近寄り、ケント君をすっぽりお膝に抱っこして、耳元にやさしく囁きました。

「今日のお昼ご飯、ケント君が大好きなクリームシチューよ。キャンディに飲ませてあげたらいいんじゃない?」

ケント君はこくんとうなづくと、キャンディ人形を私に返しに来てやさしい声で言いました。「飲みな、おいしいよ」キャンディ人形の首をお椀に突っ込みました。

人形も無事に戻り、物語を進めることはできましたが、対応策が必要だと心底、思わされました。

こんな時どうする?

⭐️幼稚園、保育園の公演の場合。事前打ち合わせの時に、ストップをかけてほしい場面をお伝えしておく。

⭐️公民館、児童館など自由参加の場合。会場にスタッフを配置しておき、事が起きたら素早くその子どものそばに行き、落ち着かせる。

子どもが教えてくれた物語の本質

背景にあった“その子の暮らし”

家庭環境が、物語の受け取り方に影響する。

ケント君が、キャンディ人形にスープを飲ませたかったのはどうしてか。彼の行動は何を表しているのかということについてお話しします。

ケント君が3歳のとき、お父さんが突然、家を出てしまい、お母さんは、ケント君と生まれたばかりの赤ちゃんを育てなければなりませんでした。

お母さんは、必死に働らかなければならないので、ケント君は家で手の込んだ料理やスープを飲ませてもらうことはほとんどありません。

だから、保育園の給食を毎日、楽しみにしていたのです。ケント君にとっては、「3びきのくま」はお父さん、お母さん、こぐまが楽しく暮らしている羨ましい家庭です。

キャンディ人形にスープを飲ませたいのは、ケント君自身がスープを飲みたいという気持ちの表れです。

女の子は安心できる場所を探していた

スープ=食べごと 椅子=家庭の中でに安定した位置 ベッド=安心して寝られる布団

キャンディが、これらの三つの部屋に入り、大きいくま(お父さん)、中くらいのくま(お母さん)、子どものくま(子ども)のものを自分にぴったり合うかどうかを試していきます。

それは、“居場所探し”の象徴です。

この物語を未来へ届けたい理由

子どもの心に寄り添う物語として語り継ぎたい。
今の子ども達を見ていると、外的には楽しそうで元気に見えるのですが、心の奥底には不安を抱えているように感じます。

人も羨むような家庭環境であっても、子どもは心の奥底で、自分は誰か、親から愛されているかと不安な心を持っているのです。

その不安がキャンディという女の子の姿になって現れてきました。お話の最後はキャンディは窓から飛び出し、二度とくま達の家には戻ってきません。

キャンディ(実はこぐまの不安な心)は、自分にぴったりのお椀、椅子、ベッドがあるのを確認し、不安が無くなり安心したのです。

こぐまの不安な心が解消されたので、キャンディは、もう戻ってこなくていいのです。

キャンディは、もう帰って帰ってこないの、どこへ行ったのと園児に聞かれたらどう答える?

けっこう答えにこまります。幼児に深い心理的な話はわかりませんから、あっさりと明るく答えます。

「キャンディはくまのお家でいろいろやったから、次の所へ行くんじゃないかな?」と言えば、そうだね、とうなづきます。

「また、帰ってくるかな?」と逆質問をすれば、「帰ってこないよ。だって、くま達に怒られるから」なるほど、それもありね、と思わされます。

無理に正解を求めることは要りません。子どもの言葉、子どもの感性に寄り添うことが大事なことだと思います。

『三びきのくま』を劇あそびにする意味

「ちょうどいい」を探す心の旅

子ども自身の“自分に合うもの探し”と重なる。

絵本と人形劇を見たら、次は子ども自身が演じることで、自分の居場所を探し、安心・安全体験をさせてあげたいと思います。劇あそびならできるのです。

「ここにいていい」と思える体験

受け入れられる経験が、心の安心につながる。
子ども時代に自己肯定感を育ててあげたい。それができるのが、「3びきのくま」です。

自己決定と安心感を育む構造

女の子は自分で選び、自分で動く。

お椀、椅子、ベッド。それぞれ三つとも試してみる。そして、いちばん小さいのが自分にぴったりだとわかる。

誰かに教えてもらうのではなく、自分で試してこれがぴったりだと自分で決める。これが大事です。

子どもの“内なる声”と響き合う物語

劇あそびは、心の声を表現する場になる。
劇あそびは、堅苦しくなく、むしろ即興性を大事にします。今の子ども達は、即興性があり、アドリブもとても上手です。

劇あそびは今の時代にぴったりな優れた物語教育教材だと言えます。

台本のねらいと特徴

非言語表現が感性をひらく

言葉に頼らない表現が育つ。
劇あそびは、自分の目、手足、背中等、全身を使って表現します。

SNS世代の今の子ども達は、身体表現がとても上手い。昭和レトロ時代の私は、子ども達の感性による身体表現は羨ましいと感じてしまいます。

「3びきのくま」のように言葉では言い表しにくい深い物語を劇あそびにすることによって、非言語能力を伸ばすことができます。

指導する先生が、身体表現に自信がなくても大丈夫。子ども達が助けて、むしろ、リードしてくれます。時には子どもに委ねることも大事。むしろ効果があがります。

感情を演じることで心が育つ

相手の気持ちを想像する力が伸びる。

自己決定と自己肯定感を育てる

役を選び、演じきる経験が自信になる。
劇あそびには即興性があるから、楽しみながら演じ切ることができるのです。

無口な子も輝ける舞台

セリフが少ないからこそ、誰もが参加しやすい。喋るのが苦手な子どもに言い回しの難しいセリフを渡して、がんばれというのはかわいそうです。

口下手な子どもでも、短いセリフなら言えます。「わしのスープを飲んだのは誰だ?」「ぼくのベッドに誰か寝てるよ」これだけでいいのです。

あとは、身体表現で補います。いえ、むしろ、身体表現が先、セリフは後、と思ったほうが良いくらいです。

完全通し台本|『三びきのくま』短縮版(5〜7分)

「3びきのくま」台本 浜島代志子作 財団法人松戸市おはなしキャラバンで実演しました。この台本は、アレンジしていただいてかまいません。

ナレーター: むかしむかし、森の奥に、三びきのくまが住んでいました。 お父さんぐま、お母さんぐま、そして小さな子ぐまです。
(くまたちが登場し、それぞれの椅子に座る。スープをかきまぜるしぐさ)

ナレーター: ある朝、三びきのくまは、朝ごはんのスープが冷めるのを待つあいだ、森へおさんぽに出かけました。(くまたちが出ていく)

ナレーター: そのころ、森のはずれから、ひとりの女の子が歩いてきました。 おなかがすいて、のどもかわいて、どこかに休める場所を探していました。

(女の子が登場。きょろきょろしながら歩く)

ナレーター: 女の子は、森の中で小さな家を見つけました。そっとドアを開けて、中に入ってみました。

(女の子がドアを開けるしぐさをして、家に入る)

ナレーター: テーブルの上には、三つのスープのおわんがありました。 大きなおわん、中くらいのおわん、小さなおわん。 (女の子が順にスープを飲むしぐさ)

✳︎「さんびきのくま」のお椀 大・中・小 

ナレーター: 大きなおわんのスープは、あつすぎました。 中くらいのおわんのスープは、つめたすぎました。でも、小さなおわんのスープは、ちょうどよくて、ぜんぶ飲んでしまいました。

女の子(小さな声で): おいしい……

ナレーター: つぎに、女の子は三つのいすを見つけました。 大きないす、中くらいのいす、小さないす。(女の子が順に座るしぐさ)

ナレーター: 大きないすは、かたすぎました。 中くらいのいすは、やわらかすぎました。でも、小さないすは、ちょうどよくて……。

(女の子が座って、ガタッと倒れる)

ナレーター: あらら、こわれてしまいました。

女の子(あわてて): あっ、ごめんなさい……。

ナレーター: 女の子は、つかれていました。 二階にあがると、三つのベッドがありました。(女の子がベッドに寝るしぐさ)

ナレーター: 大きなベッドは、かたすぎました。中くらいのベッドは、ふかふかすぎました。でも、小さなベッドは、ちょうどよくて…… 女の子は、そのまま、すやすやと ねむってしまいました。 (女の子が眠る)

ナレーター: そこへ、おさんぽから帰ってきた三びきのくまが、家に入りました。 (くまたちが帰ってくる)

お父さんぐま(低い声で): だれだ、ぼくのスープをのんだのは!

お母さんぐま(やさしく): わたしのスープも、すこしのまれてる
わ。

子ぐま(びっくりして): ぼくのスープ、ぜんぶのまれてる! (くまたちがいすの方へ)

お父さんぐま: だれだ、ぼくのいすにすわったのは!

お母さんぐま: わたしのいすも、ちょっとくずれてるわ。

子ぐま(泣きそうに): ぼくのいす、こわれてる〜! (くまたちが二階へ)

お父さんぐま: だれだ、ぼくのベッドにねたのは!

お母さんぐま: わたしのベッドも、しわくちゃよ。

子ぐま(さけぶ): ぼくのベッドに、だれかねてる! (女の子が目をさまし、びっくりして飛び起きる)

✳︎上段:女の子、小さいベッドに入る。女の子、ベッドから飛び出す。

女の子(あわてて): ごめんなさい!もうしません! (女の子が逃げ出す)

ナレーター: 女の子は、あわてて家をとびだしました。 そして、ふりかえりながら、森の中へと走っていきました。

(くまたちは見送るしぐさ)

子ぐま(小さな声で): またくるかな……?

ナレーター: それから、女の子がどうしたのかは、だれも知りません。 でも、きっと、どこかで「ちょうどいい」場所を見つけたことでしょう。

——おしまい。

「キャンディ役をめぐる対立(小学校1年の実例)

現場からのひとこと

小学校1年の劇あそびで、キャンディ役を決めるとき、 2人の女の子が同時に「やりたい」と言いました。

のぞみちゃんは、 クラスの中心にいるリーダー的な子。 いつも前に出て、みんなをまとめるタイプ。

かおりちゃんは、 成績が芳しくなく、家庭も裕福ではない子。でも、物語の世界が好きで、キャンディに強い憧れを持っていました。

二人とも譲らず、 教室の空気がピリッと張りつめました。

その場で決めず、いったん止める

どちらかを選べば、必ず片方が傷つきます。そこで私は、役決めをいったん止めました。

「まず、キャンディの動きをやってみようか」

役を決める前に、 体を使って物語に入る時間をつくりました。二人とも、不服そうな顔をしていましたが、「みんなも一緒にやるよ」と言うと、渋々ながらうなづきました。

動きの練習で気持ちが整理される

キャンディ役希望の二人の女の子だけでなく、クラス全員でやってみると良いです。全員の表現力も上がるし、役争いの二人の女の子のピリピリ感が緩和されます。

キャンディの歩き方、 家に入るしぐさ、 三つのお椀からスープを飲む、こぐまの椅子に座って激しく揺する場面

みんなで動いているうちに、女の子 2人の気持ちが少しずつ整理されていきました。張り詰めた表情が和らいできました。

完全に納得したわけではありませんが、「やってみたい」「ここならできるかも」という気持ちが生まれました。

交代制で“落としどころ”をつくる

私は、2人の気持ちを尊重しながら提案しました。

「のぞみちゃんもかおりちゃんも上手いね!キャンディを前半・後半で交代するのはどうかな?」

のぞみちゃんは少し不満そうでしたが、「それならいいよ」とまあまあ、納得。

かおりちゃんは、

「やってみたい!」

と目が輝きました。

気づき|二人とも“居場所”を探していた

この場面で私は、大事なことに気づきました。

二人とも、探していたのは“役”ではなく“居場所”だった。

  • のぞみちゃんは、主役を通して「自分はここにいていい」と確認したかった。
  • かおりちゃんは、「自分も認められたい」という願いをキャンディに託していた。

劇あそびは、子どもが自分の居場所を探し、心の奥の声を表現する場なのだと改めて感じた場面でした。

子どもの心に届く“居場所の物語”としての読み解き

『三びきのくま』は、女の子がくまの家で三つの部屋をめぐり、自分にぴったりの「お椀・椅子・ベッド」を探す物語です。

お椀は「家族の中で自分が食べる場所」、 椅子は「自分が座る場所」、ベッドは「安心して眠れる場所」。

これは、子どもが日常の中で感じている “自分の居場所はどこだろう” という気持ちと重なります。

劇あそびでこの場面を体験すると、子どもたちは自然と「自分に合うものを選ぶ」「自分で決める」経験をします。これは、自己決定力や安心感につながる大切な体験です。

キャンディが最後に家を飛び出す場面は、こぐまの不安が解消され、「自分の居場所がわかった」という象徴でもあります。

昔話は、子どもの心の奥にある声をそっと引き出してくれる。『三びきのくま』は、まさに “居場所の物語” として語り継ぎたい作品です。

人形劇の基本とコツ

人形劇は、子どもたちが物語の世界に入りやすい表現方法です。 完璧さよりも「自分で動かす」「自分で作る」経験が、心の育ちにつながります。

ここでは、現場で長年使ってきた“基本とコツ”をまとめます。

人形の持ち方(基本の型)

人形の動きは、持ち方で大きく変わります。 首は人差し指、両手は左右の指で支えると、表情が生きてきます。

  • 首=人差し指
  • 手=左右の指

この持ち方に慣れると、子どもたちが人形の気持ちを自然に感じ取れるようになります。

✳︎人形の持ち方:首=人差し指、手=左右の指

登場する人形と小道具

『三びきのくま』の人形劇では、次の人形を使います。

  • お父さんぐま
  • お母さんぐま
  • 子ぐま
  • 女の子(キャンディ)

小道具は、身近な素材で十分です。

  • お椀
  • 椅子
  • ベッド
  • メガネ
  • 帽子
  • ショール

完璧に作る必要はありません。 “自分で作った”経験そのものが価値になります。

✳︎登場する人形:お父さんぐま・お母さんぐま・子ぐま・女の子

✳︎登場する小道具 お椀・椅子・ベッド・メガネ・帽子・ショールなど

完璧さより“自分で作った”経験が価値ある。

導入から上演までの流れ(ひと目でわかる)

人形劇は、段階を追って進めると子どもが安心して参加できます。

  1. 絵本や語りで物語に出会う  無理なく、自然に物語の世界へ入る準備。
  2. 配役決定(話し合いと希望を大切に)  納得感のある決め方が大切。
  3. 動きの練習(セリフなし) まずは体で物語を感じる。セリフは覚えなくて良い。
  4. ナレーションと合わせる  語りの内容に合わせて動いてみる。
  5. セリフを加える  セリフは最後で良い。気持ちが入ってから言う。
  6. 衣装・小道具づくり  上手に作ろうとしなくて良い。考えながら作ることが大事。
  7. リハーサル・本番  リハーサルは真剣に。本番は自然に。

よくある質問 Q&A

現場からのひとこと

Q1:セリフが少ないと、劇にならないのでは?

大丈夫です。 セリフが少ないからこそ、動き・表情・沈黙の“間”が生きてきます。

子どもたちは言葉に頼らずに感情を表現する力を持っていて、観ている側も想像をふくらませる余白が生まれ、心に残る劇になります。

実際、年中組で『三びきのくま』を行ったとき、「この場面は思い切り笑ってほしい。セリフはなしでね」と伝えたことがあります。

すると子どもたちは、言葉がない分、気持ちを体で表そうとして、思い思いの笑い方を始めました。

お腹を抱えて笑う子、膝をついて床を叩く子、仰向けに寝転がって笑う子、這い這いしながら笑う子までいて、舞台が笑いの渦になりました。

セリフがないことで、子どもたちの表現がのびのびと広がった瞬間でした。

セリフだけが表現ではありません。 言葉がなくても、気持ちを体で表すことができるのは素晴らしい表現力です。

こうした場面では、子どもたちの表現をおおいに褒めてあげることで、さらに自信が育っていきます。

Q2:演技が苦手な子も参加できますか?
もちろん参加できます。 劇あそびは「うまく演じること」が目的ではなく、気持ちを体で表す体験そのものが学びになる活動です。

動きだけでも、表情だけでも、ナレーションだけでも、どんな関わり方でも自然に物語に溶け込んでいきます。

そもそも演技とは、心の中の想いを自然に表すことです。 年中組で『三びきのくま』を行ったとき、演技が苦手だったTちゃんが、椅子を揺する場面で戸惑って動けなくなったことがありました。そこで私は、

「自分にぴったりだとわかってうれしい気持ちになったら、どんな揺すり方をするかな? もっと“ほしい”って気持ちで揺すってみて」

と声をかけました。 するとTちゃんは、気持ちを思い浮かべながらそっと椅子を揺らし始め、次第に表情が変わり、自然な動きが出てきました。

その姿を見た子どもたちが「Tちゃん、名優だね!」と言い、クラス中が拍手を送ったのです。

この経験からもわかるように、演技の上手い・下手は関係ありません。

気持ちを体で表すことを少しだけ支えてあげると、どの子も自然に役へ入り、物語の世界に参加できるようになります。

Q3:時間が足りないときはどうすればいいですか?

この台本は5〜7分の短縮版なので、短時間でも取り組みやすい構成になっています。

1回の練習で完結するミニ劇としても使えますし、繰り返し演じることで理解と表現が自然に深まります。

実際、時間がほとんど取れなかった年長クラスで『三びきのくま』を行ったとき、私は「今日はスープの場面だけやってみよう」と伝えて、1場面だけのミニ劇にしました。

それでも子どもたちは役になりきり、スプーンを持つ手つきや表情で気持ちを表し始め、短い時間でも十分に物語の世界に入っていきました。

翌日、同じ場面をもう一度演じると、子どもたちは前日の動きを覚えていて、「もっとこうしたい」「昨日より大きくやる!」 と自分から表現を広げていきました。

短い時間でも、場面を絞れば十分に学びが生まれます。むしろ、短いミニ劇を積み重ねることで、子どもたちの理解と表現が少しずつ深まっていくのです。

Q4:保護者の協力が得られないときは?

心配いりません。衣装や小道具は、園や学校にある素材だけで十分つくれます。

ティッシュ箱・牛乳パック・フェルト・毛糸など、身近な材料を組み合わせるだけで、子どもたちが安心して使える道具になります。

大切なのは「完璧な見た目」ではなく、子どもたちが自分で作った経験そのものです。

年長クラスで『三びきのくま』を行ったとき、保護者の協力がほとんど得られず、衣装も小道具もすべて園で準備することになったことがありました。

そこで私は、段ボールを切り出して椅子を作り、ティッシュ箱に色紙を貼ってスープの器にし、毛糸を束ねて「くまのしっぽ」を作りました。

子どもたちは「これ、ぼくが貼る!」「もっと毛糸つけたい!」と制作に夢中になり、あっという間に舞台道具がそろいました。

本番の日、子どもたちは自分たちで作った道具を誇らしげに使い、 「これ、ぼくが作ったんだよ」 「わたしのしっぽ、かわいいでしょ」 と嬉しそうに話していました。

保護者の協力がなくても、子ども自身が作った経験が自信につながり、劇あそびの学びがより深くなることを実感した場面でした。

『三びきのくま』が子どもに残すもの
「自分はここにいていい。ここが自分の居場所だ」と心から安心できる体験をする。現代の子ども達は、どこかに不安を抱えているように感じます。
表現することは、心を育てること
劇あそびは、さまざまな状況の気持ちを体験し、それを表現していきます。いい加減な気分では表現することはできません。

けっこう力が必要です。一生懸命に考えて動いて表現しようとします。それは生きる力そのものなのです。

まとめ|昔話の力を、子どもたちの心へ

『三びきのくま』は、ただ、楽しいお話ではなく、子どもたちの心の奥にある“安心したい”“受け止めてほしい”という願いに寄り添う物語です。

この物語を、劇あそびという形で届けることで、子どもたちは「表現することの楽しさ」と「物語の力」を体感します。

——昔話の力を、子どもたちの未来へー
その願いを込めて、私はこれからも語り続けていきたいと思います。86歳の今も子どもたちから教わることがたくさんあるのです。

ぜひ、子どもたちの声に耳を澄ませてみてください。

あとがきにかえて

この台本は、私がこれまで出会ってきた子どもたちとのやりとりから生まれました。彼らのまなざし、声、動き、そして沈黙が、この物語の深い意味を教えてくれました。

どうか、現場で出会う子どもたちとともに、この物語を自由にふくらませ、その子らしい表現の花が開く時間を楽しんでいただきたいと思います。

※本記事は著者の体験・見解に基づく情報提供を目的としています。実践の際は各現場の状況や子どもの発達段階に合わせてご活用ください

 

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