📌 本記事は著者の55年以上の演劇・語り芝居の現場体験に基づく個人の見解です。実践の際は各現場の状況に合わせてご活用ください。
✅ この記事でわかること
- はじめに|子どもの心に届く劇を求めて
- この記事でわかること
- 『三びきのくま』を選んだ理由
- 子どもが教えてくれた物語の本質
幼児〜小学生の子どもたちと取り組んだ『三びきのくま』の劇あそび実践をまとめました。この物語は、ただの昔話ではなく、子どもたちの“安心できる居場所”や“自分に合うものを探す気持ち”を映し出す、心の成長物語です。
この記事では、劇あそびを通して子どもたちがどのように気持ちを理解し、表現し、他者とつながっていくのかを、実際のエピソードとともに紹介します。
短時間でできる台本(5〜7分)や、配役・練習の工夫、人形劇のコツなど、現場でそのまま使える内容をまとめました。
「表現が苦手な子も参加できる劇を探している」「昔話を心の教育に活かしたい」 そんな先生方に役立つ実践記録です。
はじめに|子どもの心に届く劇を求めて
子どもたちの心にまっすぐ届く劇とは何か。 保育園・小学校・児童館で昔話をもとにした劇あそびを続ける中で、 『三びきのくま』は特に深く響く物語だと感じてきました。
この記事でわかること
💡 現場からのポイント
子どもたちが物語の中で「選択する場面」を体験すると、思考力・共感力・自己表現力が自然と育まれます。語り芝居は、答えを教えるのではなく、子ども自身が考える時間を生み出す場です。
- 幼児〜小学生向けの劇あそびの進め方
- 表現が苦手な子も参加できる工夫
- セリフが少なくても成立する劇の作り方
- 実際に使える短縮台本
- 子どもの心に届く“居場所の物語”としての読み解き
『三びきのくま』を選んだ理由
長年大切にしてきた物語
昔話の中でも、子どもの心に深く響く作品。
演じて気づいた“物語の奥深さ”
女の子の行動は「安心できる場所」を探す旅だった。
子どもの反応が教えてくれたこと
「飲ませてやれよ!」と叫んだ男の子の姿が、物語の本質を教えてくれた。
子どもが教えてくれた物語の本質
背景にあった“その子の暮らし”
家庭環境が、物語の受け取り方に影響する。
女の子は安心できる場所を探していた
スープ・椅子・ベッドは“居場所探し”の象徴。
この物語を未来へ届けたい理由
子どもの心に寄り添う物語として語り継ぎたい。
『三びきのくま』を劇あそびにする意味
「ちょうどいい」を探す心の旅
子ども自身の“自分に合うもの探し”と重なる。
「ここにいていい」と思える体験
受け入れられる経験が、心の安心につながる。
自己決定と安心感を育む構造
女の子は自分で選び、自分で動く。
子どもの“内なる声”と響き合う物語
劇あそびは、心の声を表現する場になる。
台本のねらいと特徴
非言語表現が感性をひらく
言葉に頼らない表現が育つ。
感情を演じることで心が育つ
相手の気持ちを想像する力が伸びる。
自己決定と自己肯定感を育てる
役を選び、演じきる経験が自信になる。
無口な子も輝ける舞台
セリフが少ないからこそ、誰もが参加しやすい。
完全通し台本|『三びきのくま』短縮版(5〜7分)
「3びきのくま」台本 浜島代志子作 財団法人松戸市おはなしキャラバンで実演しました。
ナレーター: むかしむかし、森の奥に、三びきのくまが住んでいました。 お父さんぐま、お母さんぐま、そして小さな子ぐまです。(くまたちが登場し、それぞれの椅子に座る。スープをかきまぜるしぐさ)ナレーター: ある朝、三びきのくまは、朝ごはんのスープが冷めるのを待つあいだ、森へおさんぽに出かけました。(くまたちが出ていく)
ナレーター: そのころ、森のはずれから、ひとりの女の子が歩いてきました。 おなかがすいて、のどもかわいて、どこかに休める場所を探していました。
(女の子が登場。きょろきょろしながら歩く)
ナレーター: 女の子は、森の中で小さな家を見つけました。そっとドアを開けて、中に入ってみました。
(女の子がドアを開けるしぐさをして、家に入る)
ナレーター: テーブルの上には、三つのスープのおわんがありました。 大きなおわん、中くらいのおわん、小さなおわん。 (女の子が順にスープを飲むしぐさ)
✳︎「さんびきのくま」のお椀 大・中・小 ナレーター: 大きなおわんのスープは、あつすぎました。 中くらいのおわんのスープは、つめたすぎました。でも、小さなおわんのスープは、ちょうどよくて、ぜんぶ飲んでしまいました。
女の子(小さな声で): おいしい……
ナレーター: つぎに、女の子は三つのいすを見つけました。 大きないす、中くらいのいす、小さないす。(女の子が順に座るしぐさ)
ナレーター: 大きないすは、かたすぎました。 中くらいのいすは、やわらかすぎました。でも、小さないすは、ちょうどよくて……。
(女の子が座って、ガタッと倒れる)
ナレーター: あらら、こわれてしまいました。
女の子(あわてて): あっ、ごめんなさい……。
ナレーター: 女の子は、つかれていました。 二階にあがると、三つのベッドがありました。(女の子がベッドに寝るしぐさ)
ナレーター: 大きなベッドは、かたすぎました。中くらいのベッドは、ふかふかすぎました。でも、小さなベッドは、ちょうどよくて…… 女の子は、そのまま、すやすやと ねむってしまいました。 (女の子が眠る)
ナレーター: そこへ、おさんぽから帰ってきた三びきのくまが、家に入りました。 (くまたちが帰ってくる)
お父さんぐま(低い声で): だれだ、ぼくのスープをのんだのは!
お母さんぐま(やさしく): わたしのスープも、すこしのまれてる
わ。子ぐま(びっくりして): ぼくのスープ、ぜんぶのまれてる! (くまたちがいすの方へ)
お父さんぐま: だれだ、ぼくのいすにすわったのは!
お母さんぐま: わたしのいすも、ちょっとくずれてるわ。
子ぐま(泣きそうに): ぼくのいす、こわれてる〜! (くまたちが二階へ)
お父さんぐま: だれだ、ぼくのベッドにねたのは!
お母さんぐま: わたしのベッドも、しわくちゃよ。
子ぐま(さけぶ): ぼくのベッドに、だれかねてる! (女の子が目をさまし、びっくりして飛び起きる)
✳︎上段:女の子、小さいベッドに入る。女の子、ベッドから飛び出す。女の子(あわてて): ごめんなさい!もうしません! (女の子が逃げ出す)
ナレーター: 女の子は、あわてて家をとびだしました。 そして、ふりかえりながら、森の中へと走っていきました。
(くまたちは見送るしぐさ)
子ぐま(小さな声で): またくるかな……?
ナレーター: それから、女の子がどうしたのかは、だれも知りません。 でも、きっと、どこかで「ちょうどいい」場所を見つけたことでしょう。
——おしまい。
劇あそびを成功させるポイント
配役は「希望+交代制」
全員が主役になれる仕組みをつくる。セリフは覚えるより“感じて話す”
子どもの言葉でアレンジしてOK。衣装と小道具は手づくりで心を育てる
身近な素材で十分。練習は「動き→語り→セリフ」の順で
無理なく表現が育つ。ふりかえりの時間を必ずつくる
気持ちを言葉にする時間が大切。人形劇の基本とコツ
✳︎人形の持ち方:首=人差し指、手=左右の指
✳︎登場する人形:お父さんぐま・お母さんぐま・子ぐま・女の子
✳︎登場する小道具 お椀・椅子・ベッド・メガネ・帽子・ショールなど完璧さより“自分で作った”経験が価値ある。
導入から上演までの流れ
- 絵本や語りで物語に出会う
- 配役決定(話し合いと希望を大切に)
- 動きの練習(セリフなし)
- ナレーションと合わせる
- セリフを加える
- 衣装・小道具づくり
リハーサル・本番絵本や語りで物語に出会う
——無理なく、自然に、物語の世界へ
配役決定(話し合いと希望を大切に)
納得感のある決め方が大切。
動きの練習(セリフなし)
まずは体で物語を感じる。
ナレーションと合わせる
語りのリズムに合わせて動く。
セリフを加える
気持ちを込めて話す。
衣装・小道具づくり
創造力と愛着が育つ。
リハーサル・本番
“伝わった”を大切に
よくある質問 Q&A
Q1:セリフが少ないと、劇にならないのでは?
大丈夫です。セリフが少ないからこそ、動き・表情・沈黙の“間”が生きてきます。
子どもたちは、言葉に頼らずに感情を表現する力を持っています。 観ている側も想像をふくらませる余白が生まれ、心に残る劇になります。
Q2:演技が苦手な子も参加できますか?
もちろん参加できます。この劇は「うまく演じる」ことが目的ではありません。 動きだけでも、表情だけでも、ナレーションだけでも、どんな関わり方でも自然に物語に溶け込めます。
Q3:時間が足りないときはどうすればいいですか?
この台本は5〜7分の短縮版なので、短時間でも取り組みやすい構成です。1回の練習で完結するミニ劇としても使えますし、繰り返し演じることで理解と表現が深まります。Q4:保護者の協力が得られないときは?
心配いりません。衣装や小道具は、園や学校にある素材で十分つくれます。ティッシュ箱・牛乳パック・フェルト・毛糸など、身近な材料で工夫できます。大切なのは「完璧な見た目」ではなく「子どもたちが自分で作った経験」です。Q5:子どもが「やりたくない」と言ったら?
無理に参加させる必要はありません。見学・裏方・ナレーション・音響係など、さまざまな関わり方を提案してみましょう。見ているうちに「やってみたい」と自然に思う子も多いです。子どものペースを大切にしましょう。『三びきのくま』が子どもに残すもの
「ここにいていい」と思える体験
安心できる居場所の体験。
表現することは心を育てること
表現することは心を育てること
生きる力そのもの。まとめ|昔話の力を、子どもたちの心へ
『三びきのくま』は、ただの楽しいお話ではなく、子どもたちの心の奥にある“安心したい”“受け止めてほしい”という願いに寄り添う物語です。
この物語を、劇あそびという形で届けることで、子どもたちは「表現することの楽しさ」と「物語の力」を体感します。
——昔話の力を、子どもたちの未来へ。
その願いを込めて、私はこれからも語り続けていきたいと思います。 85歳の私もいまだに子どもたちから教わることがたくさんあります。 皆さんもぜひ、子どもたちの声に耳を澄ませてみてください。あとがきにかえて
この台本は、私がこれまで出会ってきた子どもたちの姿から生まれました。彼らのまなざし、声、動き、そして沈黙が、この物語の奥行きを教えてくれました。
どうか、現場で出会う子どもたちとともに、この物語を自由にふくらませ、その子らしい表現が花ひらく時間を楽しんでいただけたら嬉しいです。
✅ まとめポイント
- よくある質問 Q&A
- 『三びきのくま』が子どもに残すもの
- まとめ|昔話の力を、子どもたちの心へ
- あとがきにかえて
※本記事は著者の体験・見解に基づく情報提供を目的としています。実践の際は各現場の状況や子どもの発達段階に合わせてご活用ください。


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