私はアンデルセンが好きだ。自分の劇団でミュージカル「アンデルセン」を創った。夢を追い続けたアンデルセンの生涯を描きたかったのだ。見たこともない国デンマークを舞台にするのだ。アンデルセンの作品を読み、絵本を読み聞かせし、自伝を読みこんでいるうちしらずしらずにデンマークにいるような気がしてきた。
ミュージカル「アンデルセン」は何度も公演した。地元松戸、千葉、山形、盛岡、都内で・・・。劇中劇「みにくいあひるの子」「雪の女王」は独り立ちして今も生きている。つまり、公演しているということ。ありがたいことに評判は良い。でも、私、デンマークのこと何にもしらないのよね。あてずっぽうで書いている。これでいいのかな?
お客様を騙していないかな。ほんとうのデンマークはこうだ、あんたは間違っている、なんて怒鳴り込まれないかしら・・・。その時は、私、デンマークに行ったことがありません。オーデンセ川もコペンハーゲン劇場も知りません・・・、て頭をさげればいいや。
そんなことでくよくよするなんてお粗末な話。行けばいいのよ、デンマークに!でも、どうやって?ツアーに乗るのはイヤだなあ。そうだ、だれかがデンマークの人を知っているって言ってたな。頼んでみよう!それで見ず知らずの人にメールしてデンマーク行きを決めたのよね。決めたはいいがホテルはどうするの、通訳はどうするの?出発直前になんとかなってデンマークに飛んだ。
オーデンセ川はどんな川?
アンデルセンのお母さんが洗濯女として働いた川がオーデンセ川。お金持ちの奥様や旦那様、お嬢さんの服を洗濯する女達。冬は寒いだろうね。腰までじんじん冷えると思う。ひどい汚れは足で踏んだらしい。石に服を乗せて裸足で踏んだのかなあ。夏はいいけれど冬は寒いよね。
「これがオーデンセ川よ」通訳さんが教えてくれた。川幅は10メートルくらいあるかな。流れはゆっくりだが川岸は少し速い。鴨がすすっと泳いでいる。3、4メートルくらいで流れがほとんどない小川かと思ったが、意外に広い。
洗濯石はどこにあるの?川の中に突き出した石でもあるのかな。川岸の砂になんてことないごろんとした石を指して「これがホーセのお母さんが洗濯した石よ」通訳さんが教えてくれた。「これがハンスのお母さんの洗濯石、ほんとに?」通訳さんは自信を持ってうなづいた。
デンマークの人はアンデルセンとは言わない。ハンス・クリスチャン・アンデルセンのハンスをホーセと呼ぶ。私がハンスと言うとデンマークの人はホーセと言う。通訳さんは日本人だけれど、ホーセと言った。デンマークに行ったらホーセのことを知りたいと言えば、たちまち笑顔が返ってきますよ。
オーデンセに行ったら、オーデンセ川に行ってアンデルセンのお母さんになったつもりで石の上にタオルでも乗せて足で踏んでみるといいですよ。石は細長丸でつるつる。両足でとんとん踏むとバランスが崩れてけっこう難しい。
お母さんは一生懸命に働いたのに、息子のハンスは学校にも行かないで人形を作ってお芝居したり、歌を歌っていたんだって。親からみれば呆れたぐうたら息子よねえ。ところで、ハンスは川のどこら辺で遊んでいたのかしら。
川に入ったら子どもの頭は出ないと思うよ。ならば川岸で遊んでいたのかな。川の深さはどれくらいあるのかなと尋ねたら、知らないわと通訳さんが言った。どなたか知っていたら教えてください。
♪洗濯女の歌 劇団天童ミュージカル「アンデルセン」
♪じゃぶ じゃぶ じゃぶじゃぶ ごしごし ごしごし 洗って 洗って オーデンセ川 ここがわたしらの仕事場 あたたかい日はいいけれど 冬の寒さはたまらない 腰までじんじん 凍えそう これじゃ リューマチも時間の問題 人様の家の洗濯をして ここで一生 終わるのさ
悲しい人生 いいえ いいことだってたくさんある オーデンセ川は美しい 川辺は緑 花も咲く 神様の贈り物 感謝しなけりゃ バチが当たる わっはっは わっはっは わっはっは わっはっはきゅきゅきゅ きゅきゅきゅ きゅきゅきゅ きゅきゅきゅ ぐいーっとしぼって ぐいーっとしぼって 一丁あがり!
この歌、川辺で歌ってみた。動画に残っているけれど音程が外れていて恥ずかしい。でも、嬉しそうな私がいる。ハンスのお母さんになったつもりだったのね。ハンスのお母さん、えらいね。私が行ったのは冬で寒かった。春や夏なら川辺に花が咲くだろうか。行どなたかオーデンセ川に行かれたら写真を撮ってきてほしい。
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